学びの内容

ヤマナカ トモミ

山中 智省 准教授

専門分野

日本近現代文学、ライトノベル研究

自己紹介・学生へのメッセージ

■自己紹介
もともと日本のオタク文化に興味があり、大学でその研究に取り組み始めたことがきっかけで、マンガ、アニメ、ゲームといったサブカルチャーに広く目を向けるようになりました。現在は、若年層向けのエンターテインメント小説として知られるライトノベル/ラノベを中心に、現代日本の活字コンテンツとその周辺動向をめぐる文化研究に取り組んでいます。

■学生へのメッセージ
大学に入学したばかりの頃ですが、現在の私を形作ることになる2つの出来事がありました。1つ目は、日本のオタク文化について研究した本と出会い、「こんな研究をやってみたい!!」と考えるようになったこと。2つ目は、実際に大学の授業を受講するなかで、それまでの勉強とは違う学びの楽しさや奥深さを知り、「この楽しさにふれていたい!!」と思うようになったことです。もしも、こうした出来事がなかったとしたら、私は今の道を歩むことはなかったかもしれません——。学生の皆さんにとっても大学はきっと、今後の自分の生きる道を見出し、歩みを進めていく場になるだろうと思います。ぜひ、毎日の様々な気づきや学びを大切に、充実した学生生活を過ごしてください。

 
担当科目

■人間総合学部 児童文化学科
児童文学史・日本Ⅰ
児童文学史・日本Ⅱ
基礎演習A
基礎演習B
演習
卒業論文

■大学院文学研究科 児童文学専攻
児童文学特殊研究A
児童文学特殊研究B

担当科目の内容

■人間総合学部 児童文化学科

◇児童文学史・日本Ⅰ◇
明治期から昭和期(~1950年代)までを射程に、日本の児童文学史について学ぶ授業です。当該時期の日本では、開国や文明開化などに伴う新たな時代(近代)の幕開けをきっかけに、国内において近代児童文学が誕生してきます。そして、近代児童文学は以後、「お伽噺」から「童話」へ、戦時下の児童文学などへと様々な発展・変遷を見せながら、戦後の現代児童文学の出発に繋がる礎を築いていきました。この授業ではこうした流れを念頭に、後期に開講する「児童文学史・日本Ⅱ」の受講も見据えつつ、各時代の特徴的な動向や作家・作品の事例などについて学んでいきます。

◇児童文学史・日本Ⅱ◇
昭和期(1950年代以降)から現在までを射程に、日本の児童文学史について学ぶ授業です。当該時期には、近代児童文学から現代児童文学への転換が行われるとともに、社会の変容や既存の「子ども」観の揺らぎなどを背景に、性、自殺、家出、離婚といったテーマを扱うようになった「タブーの崩壊」の発生や、ヤングアダルト(YA)文学の隆盛、各種エンターテインメント作品の台頭など、今日の児童文学に繋がる様々な出来事が見受けられました。この授業ではこうした流れを念頭に「児童文学史・日本Ⅰ」と同じく、各時代の特徴的な動向や作家・作品の事例などについて学んでいきます。

■大学院文学研究科 児童文学専攻

◇児童文学特殊研究A・B◇
若い読者を小説(活字)の世界に誘うべく誕生・発展してきたエンターテインメント性の高い作品を対象に、複数の作品と批評・評論・研究の事例を取り上げながら、その特徴や今後の展開可能性を分析・考察していく授業です。また、作品を生んだ現代日本の物語受容や創作の様態、活字コンテンツとその周辺動向などについても、理解を深めることを目指していきます。なお、前期開講の「児童文学特殊研究A」ではライトノベルと少女小説、後期開講の「児童文学特殊研究B」では児童文庫とライト文芸を扱います。

業績
◇単著
  • 『ライトノベル史入門 『ドラゴンマガジン』創刊物語—狼煙を上げた先駆者たち』(勉誠出版)
  • 『ライトノベルよ、どこへいく—一九八〇年代からゼロ年代まで』(青弓社)

◇共編著
  • 大橋崇行・山中智省編著『小説の生存戦略—ライトノベル・メディア・ジェンダー』(青弓社)
  • 大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン』1~3(青弓社)

◇共著
  • 小野寺敦子編著『恋愛を学問する—他者との関わり方を学ぶ』(勁草書房)
  • 岡本健・松井広志・松本健太郎編『ゆるレポ—卒論・レポートに役立つ「現代社会」と「メディア・コンテンツ」に関する40の研究』(人文書院)
  • 三宅晶子編『もう一度読みたい日本の古典文学』(勉誠出版)
  • 松井広志・岡本健編著『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版)
  • 岡本健・田島悠来編『メディア・コンテンツ・スタディーズ—分析・考察・創造のための方法論』(ナカニシヤ出版)
  • 日本出版学会関西部会編『出版史研究へのアプローチ—雑誌・書物・新聞をめぐる5章』(出版メディアパル)
  • Patrick W. Galbraith・Thiam Huat Kam・Björn-Ole Kamm編『Debating Otaku in Contemporary Japan: Historical Perspectives and New Horizons』(Bloomsbury Academic)
  • 一柳廣孝・久米依子編著『ライトノベル・スタディーズ』(青弓社)
  • 一柳廣孝・久米依子編著『ライトノベル研究序説』(青弓社)

◇分担執筆
  • 日本近代文学館編『日本近代文学大事典 増補改訂デジタル版』(講談社)
  • 日本近代文学会東北支部編『東北近代文学事典』(勉誠出版)
経歴
滋賀文教短期大学専任講師、目白大学専任講師を経て、現職。横浜国立大学大学院教育学研究科言語文化系教育専攻修士課程修了。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科への論文提出により、博士(学術)を取得。論文「「ライトノベル」が生まれた場所—朝日ソノラマとソノラマ文庫」により、第44回日本出版学会賞(2022年度)清水英夫賞を受賞。
 
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