発達心理学専攻

博士課程(前期/後期)

生涯発達と発達臨床の視点から実践的な研究を展開。公認心理師カリキュラム対応。

専攻主任メッセージ

本専攻の博士課程(前期)は人間の生涯発達について研究する「発達心理学コース」と、発達障害および情緒障害に関する臨床実践を学ぶ「発達臨床心理学コース」の2コース制をとっています。

「発達臨床心理学コース」では、特に子どもの臨床心理に関して、附属の発達臨床センターを中心に、発達障害・虐待を含む情緒障害・学習障害などの子どもへの心理療法、治療教育などを指導の下に、担当者として実践します。また、症例検討会が頻回に催され、臨床心理の基礎を学びます。

「発達心理学コース」では人間の生涯にわたる心と行動の変化を、生涯発達的視点から研究するなど、発達心理学の研究者としての基盤を学びます。 研究をさらに深めたい方に向けては、博士課程(後期)が設置されており、昨今はほとんどの学生が博士論文を提出し、研究者としての基盤となる博士の学位を取得しています。

本専攻の特色

  1. 「公認心理師」「臨床心理士」「臨床発達心理士」の受験資格取得に対応しており、多くの修了生が、児童相談所・病院・児童養護施設・教育相談所・子育て支援などの臨床分野で活躍しています。
  2. 2つの関連する研究施設があり、特に子どもの発達臨床に関して、学習障害・情緒障害・社会性の発達などの症例研究や治療教育、親に対する相談・指導で大きな成果をあげています。
  3. 臨床の専門家育成とともに生涯発達心理学的視点に立った基礎的な発達研究に長年にわたり取り組んでおり、発達心理学研究と実践の世界で確かな地位を築いています。

専攻主任 木部 則雄

大学院生の声

私は公認心理師・臨床心理士の資格取得と、より専門性を高めることを目指して大学院に進学しました。白百合では、学内の発達臨床センターをはじめ、学外の病院・学校・児童養護施設といった幅広い領域での実習の機会が豊富にあります。特に発達臨床センターでのプレイセラピーや治療教育といった実践的な学びは、今後子どもたちの健やかな心身の発達支援を志すきっかけとなりました。正解のない支援の中で対応を日々模索している毎日ですが、一人一人丁寧に指導してくださる先生方に支えられています。また苦楽を共に分かち合える院生の仲間と出会えたことも、2年間の大学院生活で得られた大きな宝です。

(2024年度修了生)

指導教員紹介

教員名 研究テーマ
木部 則雄 教授
(専攻主任)
精神分析・精神医学
英国の精神分析、特にクライン派の子どもの精神分析の臨床研究を行っています。また、これを基盤として、文学、芸術作品の精神分析的理解を行っています。大学院の実習では、精神医学の見解も含めながら、来所者の臨床評価を専門としています。
菅原 ますみ 教授 発達心理学、パーソナリティ心理学、発達精神病理学
小児期の体験が心身の発達や健康にどのような短期的・中長期的な影響を及ぼすのか、 妊娠期・乳児期からの長期追跡研究によって検討を続けています。
鈴木 忠 教授

生涯発達心理学、認知心理学

  1. 子どもの描画を題材にした表象発達の研究
  2. 心的回転などのイメージ操作を題材にした認知的加齢の研究
  3. 成人期の人たちにとっての「選ばなかった道」への思いとその心理的機能についての研究
波多江 洋介 教授 イメージを用いた心理療法
イメージを用いた心理療法について研究していますが、中でもトラウマを抱えた子どもとの遊戯療法について興味関心を持っています。また、児童養護施設の職員を対象とした研究も行っています。
宮下 孝広 教授 発達と教育、教授・学習過程
学校や家庭・地域で行われている教育的な働きかけを通じて子どもの発達にどのような影響が及ぼされていくのか、学校における授業や家庭・地域における活動に即して研究しています。心理学的なアプローチを主としていますが、幅広く周辺領域にも目配りしていくことを心がけています。
堀口 康太 准教授 就労、社会参加、介護サービス、転居など高齢者の生涯にわたるモチベーション、それを支える福祉領域の支援者の支援、そしてそれらを通して、人の生涯発達(=キャリア)を支援することが私の研究テーマです。
眞榮城 和美 准教授 子どもの自己感(自尊感情・自己受容感・自己有能感など)の発達に関する縦断研究。幼児期の遊び環境・経験と自己感との関連。Social and Emotional Learningプログラムの実践効果に関する研究。
涌井 恵 准教授 発達障害児の学習支援と集団適応支援に関する研究
「集団随伴性」という集団における行動変容の応用行動分析学の知見と、「自己調整学習」「学び方を学ぶ」「学びのユニバーサルデザイン」といった教育心理学等の知見を融合させて、発達障害児や周囲の級友にとってより効果的な支援方法について探求しています。
御園生 直美 講師 社会的養護のもとにいる子どもの支援
親との分離や喪失、虐待などのトラウマ体験などをもつ子どもたちの里親養育における心理的支援やアタッチメントが専門。加えて英国発のWatch Me Play!という遊びを使った乳幼児の支援についても研究を行っています。

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修士論文題目

年度 題目 副題
1 2024 知的障がい児の性行動に対する母親の意識変容プロセス
2 2024 メイドカフェ従業員における特有の困り感とその支援について
3 2024 児童福祉における対人援助職の悩みや葛藤のプロセス
4 2024 障害児・者の青年期きょうだいにおける過剰適応傾向と家族ルールとの関連
5 2024 高齢者介護の自助グループにおける介護負担感と心理的支援の検討 -家族介護者への面接調査から-
6 2024 自傷行為のある児童に対する機能的アセスメントに基づくソーシャルナラティブによる介入
7 2024 乳幼児をもつ母親の児へのボンディング形成不全傾向の関連要因
8 2024 教師の自律性支援の有効性認知の検討 ー管理職からのソーシャル・サポートと学校組織風土に着目してー
9 2024 若者のSNSにおける人との繋がりについて ーSNS利用状況と居場所感との関連からー
10 2024 園での遊び経験と自己有能感の発達との関連 ―幼児期後期を対象として―
11 2024 社会的養護にある高校生の小児期逆境体験と現在の適応状況 ー保護的・補償的体験に注目してー

博士論文題目

※博士論文の内容は「白百合女子大学学術機関リポジトリ」で閲覧することが可能です。

年度 題目 副題
1 2022 保育場面における子どもの不快情動表出と情動調整 4歳児クラスの子ども達が卒園するまでの縦断的観察から
2 2019 包括的心理アセスメントによる子どもの支援について ―保護者支援を内包したものとして―
3 2019 子どもをもたない中年期有配偶者における幸福感とその規定因に関する研究

卒業後の進路

修了後の進路・キャリアについて

博士課程(前期)は「公認心理師」や「臨床心理士」等 の 資格課程に対応していることもあり、多くの修了生が資格取得の上、公立小中学校や病院、児童相談所、療育施設、心理・発達支援に関連する企業など、心理的なサポートを必要とする現場で心理臨床の専門家として活躍しています。
また、博士課程(後期)では博士号取得者も多数輩出しています。

公認心理師については 以下のリンク先もご参照 ください。

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