白百合について

学長室の窓から No.43

2023年12月21日

出会いと別れ—この1年を振り返って
 

白百合女子大学
学長 髙山 貞美

年の瀬が迫り、今年も残りわずかとなりました。寒さが一段と厳しく感じられるこのごろ、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。


長い人生には出会いと別れがつきものですが、今年もさまざまな出会いと別れがありました。まずは、喜ばしい出会いについてです。10月13日(金)、ローマからシャルトル聖パウロ修道女会の総長マメール・マリア・ゴレッティ・イーと総顧問のマスール・エレーヌ・ル・マイユ が本学を表敬訪問されました。私がお二人にお目にかかるのは初めてでしたが、総長は6年前にも本学においでになったそうです。そのときは時間をかけてゆっくり本学を視察なさいましたが、今回は時間的な制約もあり約1時間半の滞在でした。

ステンドグラスが美しく映えるチャペルで祈りをささげた後、ルイ・ショーヴェセンター(準備室)にお立ち寄りになりました。来年4月に開室予定のルイ・ショーヴェセンターは、シャルトル聖パウロ修道女会の創立者の名を冠したセンターです。当センターの活動としては、主に学生の課外活動に関することで、ボランティア活動や同窓生への対応などがあげられます。

その後、本館ロビーで教職員や同窓生が集まる中、総長ご自身のお言葉をいただきました。総長のおおらかな姿、穏やかな語りかけにじかに接し、私たちは白百合ファミリーの一員であることを心から誇りに思いました。そして、教育が人間形成の基盤をなすものであり、人間社会における最も古く最も高貴な営みの1つであること、人を育てることがいかに尊い使命であるかを深く理解しました。


次いで、悲しい別れとしては、本学の上に大きな足跡を残されたお二人の先生がこの世を旅立たれたことです。星野正道神父とマスール小林淑子先生です。星野神父は、本学の教授として、チャプレンとして学生に寄り添いながら15年間をお過ごしになりました。音大出身の星野神父は、ピアノを弾いてクワイア聖歌隊の歌唱練習をしたり、お料理が得意で新入生歓迎会のために率先してケーキ作りに精を出したり、多彩な才能の持ち主でいらっしゃいました。

また、折に触れて宗教教育の重要性を説いておられました。宗教教育は教養教育でも初年次教育でもなく、学生一人ひとりが大学を卒業した後にも生涯にわたって歩み続ける人生を照らす光として位置づけなければならない、とよく言われていました(釘宮明美「お別れの言葉—追悼 星野正道神父様」『ぶどうの木』第39号、7頁参照)。

残念なことに、私はマスール小林淑子先生にお会いする機会はありませんでしたが、そのお名前は何度も聞いたことがあります。1974年4月に本学に着任され、2019年3月に退職されるまでの計45年間本学に奉職されました。マスール小林先生は「マスコバ」の愛称で呼ばれ、多くの人に慕われていました。

「マスコバ」はフランス語フランス文学科の象徴であり、生き字引です。両国育ちのチャキチャキの江戸っ子、人情深く、茶目っ気たっぷりのストレートな表現で、マスールの周りは笑いがあふれていました。4月以降ぐっと寂しくなりますが、時折おしゃべりができればと願っております。
   (フランス語フランス文学科一同「Sr. 小林淑子先生への寄せ書き」より一部抜粋)

マスール小林先生がどれほど愛され、信頼されていたかを語るメッセージです。キリスト教学やフランス語の先生として、アドヴァイザーとして、そして何よりも「マスール」として、陰となり日向となって優しく包みこむように本学を支えてくださっていたことを強く確信しました。
 

今年のクリスマスをみなさんはどのように過ごされるのでしょうか。本学では12月24日(日)に卒業生、教職員、近隣の方々を迎えてクリスマスのミサがあります。分断や争いが激化し、混迷を深める世界に1日も早く平和が実現しますよう祈りをささげます。みなさんにとって新しい年が素晴らしい有意義な年となりますよう心からお祈り申し上げます。


※12月24日のクリスマスミサは事前申込制です。満席のため受付を終了いたしました。
   
 


 

 


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